55 Someday again
55 いつかまた
この物語はここで終わります。この続きが書き綴られるかどうかは、かつて『若草物語』の作者が最後のページで述べていたように、読者のこの物語に対する反応によってなされるのかもしれません。著者の力量はしばらく別にしても、それまでに、部分的にモデルになってくださった人々があまりにも年を取っていないことを祈るばかりです。著者のエネルギー残量からすると、続編の実現は相当に少ない可能性でしかありませんが、もしそれが実現するとしたら、それはきっと高彦くんと安彦くんの二人があまりに大きくならないうちにでしょう。二人が完全に大きくなってしまったら、著者の書き継ぐパワーは今よりもずっと小さなものになってしまっているでしょうから。
田所さんの書く力は、ほんとうは愛する人々によって支えられているのです。そして同時に、自分自身をかってに「すてきなおとうさん」と思い続けてきましたから、その思いによって、この小さな物語はなによりもなかよし兄弟二人のために、そしていつも明るい妙さんのために、ここまで進めてくることができたのです。著者自身にも書き上げるまでははっきりとはわからなかったのですが、物語はそれ自身出来あがったときに、もっともあたたかくもっとも共感を持って、最初に読んでくれる人々を待ち望んでいるのでした。
「おとうさん、そんなにまでしなくてもいいのに」と兄弟二人と妙さんとから言われたとしても、この物語は「すてきなおとうさん」が三人へ贈る、過ごされたなつかしい一年への、つたない力を尽くしての愛と感謝の贈り物なのです。
そして最後にこの物語の続きよりもなによりも、ここまでこの本を読んできてくださったみなさんへ心からの感謝を述べなくてはなりません。
どうかみなさん、いつまでもお元気でそしてお幸せに。
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