Thursday, 7 October 2021

Longing for theoretical physics at high school

 

理論物理学へのあこがれ

私は、一年秋頃から理論物理学への強いあこがれを持つようになっていた。私が最もあこがれていたのは、朝永振一郎先生だった。先生の「帯独日記」をいつ読んだのか、今ははっきりと確認できないが、ドイツに滞在しながら、多くの著名な物理学者や俊秀とともに新しい理論物理学の構築を目指していた、その姿に魅了されていた。

1965年秋、朝永先生のノーベル物理学賞受賞が報じられた翌朝、始業前のひととき、私たちG 組では、その話題が金子と私の席に近い後ろの黒板のあたりでおしゃべりとなった。クラスの一人が、おれ、先生と親しい人を知っているんだ、と嬉しそうに言っていたことを今もおぼえている。

はるかに後年、私が文字に内在する時間を主題としていたとき、朝永先生のノーベル賞受賞の一つの核となった超多時間理論を整理する必要を感じ、西島・ゲルマン理論で知られる西島和彦先生の論考を参考として、シュレディンガーからディラックを経て朝永に至る超多時間理論の数学としての厳密な道筋を理解できたときは、高校以来の長い宿題を解き終えたような安堵感をおぼえた。西島先生はこの論考を雑誌に発表したのち、まもなく亡くなられたことを新聞で知った。先生の絶筆に近いものであったとおもう。私は西島先生の学恩を感ずる一人となった。先生のこのときの論考の表題は「ディラックと場の量子論」『数理科学』2007年9月号 15頁―20頁 サイエンス社 2007年、であった。



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